南比小と日野菜

 日野菜は、漬け物用のかぶの一種で、滋賀県の南東部に位置する蒲生郡日野町で、約500年前に当時この地を治めていた蒲生家の当主、蒲生貞秀によって発見され栽培されたのが始まりであると伝えられています。

 そして、貞秀の子孫にあたる戦国時代の武将、蒲生氏郷(がもううじさと)が藩替え(日野から松坂へ、松坂から会津若松へ)とともに持ち運んだり、後の時代には近江商人の一つである「日野商人」が各地に広めたりしたと言われています。

 現在では、日野菜は「京漬け物」の一つとしても「日野菜漬け」「ひのな漬け」「緋の菜漬け」、あるいは「さくら漬け」として市場に出回っています。

 もともと、本校の校区である日野町南比都佐地区では、日野菜の栽培が盛んでした。しかし、漬け物が家庭の味からスーパーの商品として変わる時代の波にもまれ、特産物としての日野菜が地域の意識からも薄れ始めてきました。

 

 そうしたなか、日野菜の原種を守ってこられた農家が辞められるということを知った本校の教員と子どもたちが、学校でも日野菜について学習しようと、平成12年度から「日野菜学習」に取り組み始めました。以来、本校では、この地元の特産物を生かした学習を「ほまれの時間」(総合的な学習の時間)の中に「日野菜学習」として組み込んできました。

 

 平成17年度からは、本校の所在地である深山口(みやまぐち)に「深山口日野菜原種組合」が設立され、DNAの栽培保存に取り組まれたり、日野町商工会では平成19年度に「日野菜プロジェクト委員会」を設置して日野菜を全国に発信されたりする取組も進められました。

 

 こうして、日野菜を守り続ける活動をされている方々のご指導を受けながら、本校では毎年、全校児童による日野菜の栽培、漬け物づくりなどを行い、総合的な学習の時間だけでなく、生活科や家庭科の学習などを通じて地域の文化や伝統を学び、人々との交流を深める学習を展開しています。